シリコンバレー(Silicon Valley)ということば、一度は耳にしたことがあるかと思います。シリコンバレーとは、米国カリフォルニア州北部にある半導体メーカーが集中するエリアのことで、半導体の主原料であるケイ素=Siliconと、そのエリアの地形が渓谷=Valleyであることから、その名がついています。 Apple、Google、Facebook、Yahoo!などなど、名立たる先端IT企業の多くがシリコンバレー内に本拠地を置いています。そのおかげでシリコンバレーに米国内外からの転入・居住者が押し寄せ、地域のみならず、米国全体の経済成長にも寄与しています。
実は、横須賀にもシリコンバレーならぬ、「ヨコスカバレー構想」と呼ばれるICT企業の誘致・集積を目的とした構想があります。今回は、横須賀の希望と未来(かもしれない)ヨコスカバレー構想をご紹介したいと思います。
ピンチはチャンス?
横須賀は首都圏に位置しながらも、自然豊かで、新鮮な野菜や海の幸も豊富にあり食環境も充実しています。軍港として栄え、製造業の歴史もあり、ものつくりの素地がいまもなお活きています。一方、横須賀市の人口は2000年以降減少傾向にあり、今年の2月には40年ぶりに40万人を下回るという数字が話題になりました。人口減少の最も大きな原因が転入数が圧倒的に少ないことがあります。
そこで計画されたのが、ヨコスカバレー構想です。スタートアップ支援、ICT企業の誘致、学生への教育活動、クリエイターフレンドリーな環境づくりなど、起業や技術のサポートと環境整備をまちぐるみで行うことで、雇用拡大、定住促進、さらに横須賀の未来を支えるモノとヒトによる地域活性、イノベーションの推進を目指しています。
- スタートアップとは…定義はさまざまですが一般的には、イノベーション=創造的活動による新製品開発、新生産方法の開発、新しいマーケットの開拓などのこと。ICT分野から活気づいた起業の形ともいえる。
- ICT企業とは…ICTはInformatin and Community Technologyの略。情報通信技術のことで、ITとほぼ同意。国際的にはICTという言葉の方が定着している。情報通信技術の開発みならずそれらを利用した活用方法、サービス、大型プロジェクトや社会システムに視点を置いた企業のこと。
横須賀のポテンシャル
横須賀には横須賀リサーチパーク(Yokosuka Resarch Park)・通称YRPがあります。電波・情報通信技術の研究開発拠点として発展してきたYRPには、NTTをはじめNEC、富士通といった国内大手ICT企業の研究所や、いくつもの有名大学の研究室が居を構え、専門的研究を進めています。元々YRPは、電電公社の研究所(現NTT横須賀研究開発センタ)からはじまっており、YRPのある地には「光の丘」と新たな地名が名付けられています。都心からのアクセスもほどよく、豊かな自然に囲まれた広大な丘陵地に立つYRPの施設には、研究開発活動に適した落ち着きのある環境が備わっています。
ヨコスカバレー構想は、横須賀の豊かな自然環境とYRPなどの既存資源を活かすことを着眼点としながら、横須賀のこれから・未来に向けた取り組みです。米海軍基地があることで横須賀が培ってきた国際環境への寛容性もまた、ICTという国際的分野の研究開発にとっては力強い後押しになり得ます。国内に留まらず、海外からの研究者、技術者の受け入れ、国際的な研究交流、在住の外国人を対象としたテストマーケティングやユーザーテストなど、世界市場を視野に入れた取り組みが可能なのも、横須賀ならではのポテンシャルといえます。
ヨコスカバレー構想
2015年7月に発足し、ヨコスカバレー構想実現委員会を中心に官民一体となって取り組みがはじまったヨコスカバレー構想の挑戦。横須賀らしさをアピールする歴史的な場所で実施されるハッカソン、オフィスは小さくても通信環境が整っていれば良いICT企業のスタートアップ支援、若手プログラマーの育成を目的としたプログラミング研修、中高生を対象とした本格的な起業体験プログラム、ヨコスカバレー構想をPRするイベント「YOKOS会議」などなど、ヨコスカバレー構想の取り組みはこつこつと、しかし実質的且つ本格的な企画が盛りだくさんです。「10年、100社、100億を横須賀へ」を目標に企業誘致、集積と人材育成に取り組んでいます。
- ハッカソンとは…ハック(Hack)とマラソン(marathon)を掛け合わせた造語で、プログラマー、エンジニア、デザイナー、マーケッターなどで構成されるチーム体制で行われる開発イベントのこと。それぞれの技術やアイデアを持ち寄り、定められた短期間(1日〜1週間)に、サービス、システム、アプリケーションなどを開発し、最後はその成果を競い合う。
今年2月に行われた「YOKOS会議」のイベントは、「東京の中心でヨコスカアイをさけぶ」と題し、東京銀座で開催されました。横須賀の存在をアピールしながら、横須賀の未来につながるイノベーションの推進に取り組んでいます。
横須賀発ジーンズアパレルである横須賀ジーンズ商会は、未来につながる横須賀の一躍を担うことも使命であると考えています。これからも、横須賀の未来に注目し続けます。
=参考リンク=
- -ヨコスカバレー構想 ホームページ-http://www.yokosuka-valley.com/
- -中高生のための起業体験プログラム-https://peraichi.com/landing_pages/view/enchalleyokosuka
- -雑誌・アスキーによるヨコスカバレー構想関連記事(2016年掲載)-http://ascii.jp/elem/000/001/159/1159601/