横須賀でイメージするものといえば、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」である。と、これは、もはやジェネレーションクイズですね。
「曲名もバンド名も、聞いたことないけど、なにか?」、という、もしかしなくても若いであろう、そこのあなた!
これは、世界に誇れる昭和ジャパニーズバンドの名曲ですので、いますぐ、聞いてください!知ってください。
びっくり夢中になること、間違いなしです。
1975年に発売された、この「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」。
”ヨコスカ”ということで、横須賀ジーンズ商会としては黙っていられないわけです。
今日は、この横須賀らしさがたっぷりとにじみでている、名曲のおはなし。
アメリカ軍基地の街・横須賀
横須賀は、云わずと知れた軍港の街、アメリカ軍基地のある街です。
第二次大戦後、横須賀にアメリカ海軍が駐留しはじめて以来、横須賀の街には、アメリカ軍関係者が多く出入りし、また、住んでいます。
そのせいもあってか、横須賀の街は、アメリカと日本が共存する、独特な文化、その雰囲気が特徴のひとつになっています。
とくにアメリカ軍施設の向かい側に位置し、京急汐入駅から横須賀中央駅の間にある、横須賀のメインストリートといっても過言ではない「どぶ板通り商店街」、通称”どぶ板”には、異国情緒漂うBarや飲食店が立ち並び、英語も自然と耳に入ってくるような、異空間が展開されています。
港町と人間模様
さて、このダウン・タウン・ブギウギ・バンドによる「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」ですが、タイトルにその世界観のすべてが表されているようにおもいます。
港街は、人々が、寄せては返す波のように、来たかとおもえばまた去っていく街。
出会いも多ければ、別れも多い。
そこに、波のように流れてきたヨーコ。
髪が長くて、水商売をしている(または、していた)。
ヨコハマも港町だけど、ヨコスカとは違うステイタスのある街。
女たちは、夜な夜なお酒のお供をしながら、なにを夢みているのだろうか。
ヨコハマから流れてきたヨーコは、ヨコスカの街が好きだった。
けれど、またどこか違うところへ’流れて’いかなければいけない事情ができた。
今日もヨーコはどこにいるのか?
カタカナで書く”ヨーコ”や、”ヨコハマ”、”ヨコスカ”には、外来の文化や、異国情緒が染み込んでいる感じが伝わってきます。
どぶ板にあるBarの雰囲気とピッタリ重なるように。
さらに、宇崎竜童率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドは、この曲を、ダルそうな、それでも、ドスの利いたセリフをメインにして展開されるトーキングブルース調に仕立て、さびの部分は、耳に馴染んで一度聞いたら忘れられない、ポップなロック調でコーラスします。
リズムを刻むベースの音に、ギターのリフも心地よくなり響き、王道のなかの王道、これぞロックンロールです。
バーを転々としながら、捨て猫のように日々を過ごすヨーコの姿と、リーゼントヘアにレイバンのサングラスをかけた、ボーカル宇崎竜童と、お揃いのつなぎをまとった、バンドメンバーの不良じみた風貌が、なぜか自然とマッチして、この曲の世界観が容易に、そして、深く想像されます。
「アンタ、あの娘(こ)の何なのさ」
このセリフは、曲の発売当時、流行語にもなりました。
ヨーコを探す男が、ヨーコの足跡を追いながら、人々に行き先を尋ね歩いては、行く先々で、こう言われるのです。
”アンタ”という、すれたことば遣いも、人生の厳しさや寂しさを感じさせる、この曲の世界観を象徴しています。
時代、土地柄、男と女、人間模様。
ドラマティックですこし謎めいているこの曲は、横須賀の街にとても良く似合います。
ちなみに、この曲には、その後いくつものアンサーソングが作られたり、他のバンドにカバーされたり、また、映画まで作られました。
だれもがヨーコの行方が気になってしょうがない、ということですね。
では、最後に歌詞のおさらいを。
この世界観たるや、素晴らしいの一言。
以下歌詞引用リンク:https://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=37406
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」
作詞;阿木燿子 作曲;宇崎竜童一寸前なら憶えちゃいるが
一年前だとチトわからねエなあ
髪の長い女だって
ここにゃ沢山いるからねエ
ワルイなあ他をあたってくれよ
アンタ あの娘の何んなのさ
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ半年前にやめたハズさ
アタイたちにゃアイサツなしさ
マリのお客をとったってサ
そりゃもう大さわぎ
仁義を欠いちゃいられやしないよ
…アンタ あの娘の何んなのさ
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカハマから流れて来た娘だね
ジルバがとってもうまくってよお
三月前まで いたはずさ
小さな仔猫を拾った晩に
仔猫といっしょにトンズラよ
どこへ行ったか知らねェなあ
…アンタ あの娘の何んなのさ
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ横須賀好きだっていってたけど
外人相手じゃカワイソーだったねェ
あんまり何んにも
云わない娘だったけど
仔猫と話していたっけねェ
前借り残したまんま
一ト月たったら おサラバさ
…アンタ あの娘の何んなのさ
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカたった今まで 坐っていたよ
あそこの隅のボックスさ
客がどこかをさわったって
店をとび出していっちまった
ウブなネンネじゃあるまいし
どうにかしてるよ あの娘
…アンタ あの娘に惚れてるね!港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ