横須賀ジーンズ商会はいま、絶賛サンプル制作中。
昨日(2018年5月10日)のfacebookページでもご紹介していますが、先日、サンプルに使用する生地見本が届きました。
今日はすこし、ジーンズの生地・デニムについておはなししたいと思います。
デニムとジーンズの違い
デニムとは生地のことを指します。そして、ジーンズはデニム生地でつくられたパンツ(ズボン)のこと。
最近ではジーンズのことをデニムと呼ぶことも多くなりましたが、正式には、デニムはあくまで素材の名称です。デニムでできたパンツ、デニムパンツ=ジーンズなのです。
デニムとジーンズの語源
17世紀 フランスのニームは絹の織物業が盛んでした。その後、綿が絹にとってかわり、丈夫な綿の生地を生産する一大産地となります。
ニームの織物は、serge de Nime(セルジュドゥニーム)と呼ばれました。この、de Nime(ドゥニーム、「ニーム産の」という意味) が、デニムの語源といわれています。
18世紀にはいると、イタリア北部の港町ジェノバでserge de Nime が海外へ輸出されるようになります。そして、インディゴ染めされたserge de Nimeが、新大陸アメリカへとわたるのです。このジェノバは中世ラテン語では「Genua」と表され、それが当時のフランス語で「Gene(ジェーヌ)」となり、アメリカにわたると英語の「Jean(ジーン)」という表現に変わりました。英語では脚に身につける衣類は全て複数形(右と左のペア)として考えるので、Jean(ジーン)がJeans(ジーンズ)という複数形になったわけです。
そう、ここで新発見。ジーンズはてっきりアメリカ由来のものかと思ったら、古くは18世紀のイタリア港町のジェノバにさかのぼるということです。
ちなみに、このジーンズ、日本ではGパンに化けました。JeansならJパンじゃぁないか!と思いませんか?ひとつは、Jean(ジーン)生地のパンツからジーパンとなり、ジーの音をGにあてたという説。もうひとつは、アメリカ軍兵士の穿いていたパンツ、GI(ジーアイ)パンツからGパンとなったという説。どちらも、ごもっともな由来ですね。
デニム生地のつくりかた
デニム生地がどうつくられているか、ご存知ですか?それを知ることにより、デニム生地でつくられたジーンズの特徴や最近のトレンドが見えてきます。
デニム生地は、綾織り物(ツイル)生地で、たて糸3本によこ糸1本で織られているものが主流です。たて糸は、インディゴ(青藍)で染めた太糸をつかい、よこ糸は原則着色はせず、たて糸よりは細めの晒し糸か未晒し糸をつかいます。たて糸が表面に多く浮いてくるため、たて糸の藍色が生地の色として現れます。たて糸のインディゴ染めは、糸の中心部まで染めきっていません。糸の中心部分は白いままに、糸の周囲だけが藍色に染まります。デニム生地が、洗濯や摩擦をくりかえし、色落ちするのはこの、糸の周りの藍色部分が削られて、中心部分の白が浮かび上がってきているからです。これが、ジーンズ独特の色落ちのカラクリです。
そして勘のいい人はお気づきでしょう。カラーデニムは、このたて糸の色を違う色に染めたものになります。
デニム生地の素材
前述のserge de Nimeが起原なこともあり、綿100%がはじまりであり、綿が本来のデニムの素材になりますが、最近では、紡績技術の向上や技術革新、さらにジーンズ製品の需要の拡大などから、さまざまな素材のデニム生地が生産されています。
以下に、主な素材とその特徴をあげてみます。
レーヨンデニム
柔らかくて着やすい・穿きやすいデニム生地の代名詞。ソフトジーンズと呼ばれる類のジーンズの素材はレーヨンデニムが主流です。木材を原料としたパルプを溶かして植物繊維にし、糸として紡ぐことでできた再生繊維です。
絹のようなひんやりとした肌触り、とにかく柔らかく、吸湿性、吸水性、光沢があり、色もよく染まります。水にぬれると縮みやすい、という特徴もあります。
レーヨンデニムは、日本生まれのジーンズブランド、ボブソンが開発しました。そして、今でもこのレーヨンデニム、ジーンズのための主要な生地として、日々進化し続けています。
麻(リネン・ヘンプ)混デニム
麻が一定割合で混合されたデニム生地で、ゴワっとしたはり、つるっとしたなめらかなものまで幅広くつくられています。
通気性に富み、湿気をすいにくいため、軽さが特徴。ストレッチ性があるものも最近はつくられています。
ポリウレタン混デニム
ストレッチ性を目的としたデニム生地で、伸縮性のあるポリウレタンを5~6%ほどつかい、動きやすさを追求できる素材です。
ストレッチジーンズがその良い例です。ただし、綿100%と比較して経年劣化するというデメリットがあります。その理由が、ひとつに、加水分解。そして、綿に比べると伸び縮み幅が大きいため、生地の伸びがはやい。伸縮させすぎると、すぐに”くたっ”としてしまいます。
綿は洗うことで生地が収縮し伸びを戻すことができるのですが、ポリウレタンは伸び戻しの縮みが少ないのが特徴です。
ペーパーデニム
綿と和紙の混紡の、比較的新しいデニム生地です。
綿より軽く、撚(よ)ると強く、吸湿性があり、しっかりとした厚み、さらっとした肌触りが特徴です。和紙を洗濯したらとけてしまいそう!と思いがちですが、強い撚りをかけることで、水につけても繊維がバラバラにならず、丈夫な生地になります。吸湿性、放散性にすぐれていることから、夏物にぴったりの素材です。
すこし調べただけでも、こんなに素材の異なるデニム生地があることがわかりました。衰えぬジーンズ市場の拡大をうけて、各メーカー・ブランドが、独自の風合い、肌触り、穿き心地、伸縮性、機能性などをうちだすべく、あらゆる素材、新技術を駆使し、デニム生地を開発しています。
この機会に、いまお持ちのジーンズがどんなデニム生地なのか、いちど確かめてみてはいかがでしょうか?また、デニム生地についてより深い知識を得ることで、自分の「欲しい」ジーンズが、いち早く見つかるかもしれません。
実は、まだまだ語りつくせていない、そして、とても大事なジーンズの生地・デニムのはなしがあります。
このつづきは、また次回に。
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